研究課題/領域番号 |
17540282
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
杉本 康博 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 講師 (70196757)
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研究分担者 |
宮本 彰也 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授 (50174206)
長嶺 忠 東北大学, 大学院理学研究科, 助手 (30212111)
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キーワード | 素粒子実験 / 放射線、X線、粒子線 / CCD / 放射線耐性 / リニアコライダー / バーテックス検出器 |
研究概要 |
リニアコライダー(ILC)における実験のための、全空乏型高精細画素CCDを用いたバーテックス検出器の開発研究が本研究の目的である。平成18年度には、標準的な画素サイズの全空乏型CCDの特性の研究、高精細画素CCDをILCのバーテックス検出器として用いた場合に期待される性能のシミュレーションによる研究、およびCCDを薄くした場合の力学的強度の研究を行った。 全空乏型CCDを用いれば中性領域での電荷の分散がなくなり、ヒットするピクセルの割合を下げられると期待される。これを実証するため、1ピクセルの幅よりも細く線状に絞ったレーザー光をいくつかの裏面照射型のCCDサンプルに照射して、その信号が表面近傍に形成されるポテンシャル井戸に到達するまでにどの程度拡がるかを測定した。その結果、エピタキシャル層に15μmの厚みの高抵抗シリコンを用いたCCDについては、レーザー照射時のゲート電圧を+6Vにすれば信号の広がりは電荷の拡がりがない表面照射のCCDの場合と変化なく、全空乏化できていることが実証された。 高精細画素CCDをILCのバーテックス検出器として用いた場合のバーテックス分解能に関するシミュレーションによる研究を行なった。その結果、高精細画素CCDを用いたバーテックス検出器はILC実験での性能に対する要求を満たしていることが分かった。 高精細画素CCDをバーテックス検出器に用いる場合、RVCと呼ばれる密度の低い発泡性炭素でできた2mm程度の厚さの板の両側に50μm程度まで薄くしたCCDウェファーをサンドイッチ状に接着して用いることを考えている。この場合の力学的強度を有限要素法を用いて計算し、自重によるたわみが無視できるほど小さいことを明らかにした。
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