研究課題/領域番号 |
17540285
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
今里 純 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (40107686)
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研究分担者 |
五干嵐 洋一 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教 (50311121)
澤田 真也 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 大強度陽子加速器計画推進部, 准教授 (70311123)
林 ケヨブ 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (90332113)
清水 俊 大阪大学, 理学系研究科, 助教 (60294146)
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キーワード | 時間反転不変性の破れ / CP対称性の破れ / K中間子崩壊 / Kμ3崩壊 / ミュオン横偏極 / J-PARC / TREK実験 |
研究概要 |
本研究の最終的な目的は、J-PARCにおけるK^+中間子のKμ3崩壊(K^+→π^0μ^+v)でのミュオン横偏極の精密測定による時間反転不変性の破れT-violation(TV)の探索実験(E06-TREK実験)の成果である。J-PARC完成を目前にひかえ、本研究では測定器の詳細な検討・設計をすることを目標としている。 最終年度のH19年度は前年に採択されたE06-TREK実験の実験提案書に基づいて、測定器要素の設計やR&Dを進めた。測定器の中で最も重要な部分はミュオンポラリメタである。ミュオンを止めるMuon stopperの材質の研究を実際にカナダのTRIUMF研究所のミュオンビームを使用して実施し、残留偏極度、スピン緩和率の測定を20種類近いAlとMgの純金属及び合金について測定した。ドリフトチェンバーの構造材として候補となる合金が殆どすべてについて非常によいミュオンの振る舞いを持つことを示した。またCsI(Tl)カロリメータの光の読み出し方式の検討を進め、テスト実験を東北大学核理学研究施設の電子ビームで生成される陽電子ビームを使って実施した。従来のPIN光ダイオードに代わりAPDダイオードを応用する。試験では主として読み出しの高計数率性能やパイルアップ事象の解析の可能性を調べたが、十分によい特性をもっていることが示された。ファイバー標的の設計も進めた。問題はK+中間子のStoppingefficiencyやビームハローのファイバー光読み出し素子へ与える影響である。ビームハローの詳しいシミュレーション計算を行い、MPPCダイオードの使用は放射線損傷の観点から非常に際どい条件となることを結論付けた。系統誤差の解析を特に重要となるポラリメータのミスァラインメントについて解析し、この効果が分離可能であることを示し、実験審査委員会へ定期的な報告の一環として報告した。コラボレーション会議を9月にカナダのサスカチワン大学で、2月にKEKで開催し、研究討論を行った。また、KAON2007国際ワークショップとICNP2007コンファレンスにTREK実験についての報告を発表した。
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