研究概要 |
遷移金属電極とカーボンナノチューブ導線との接合部の構造と電気的性質(電子輸送現象)を理論的に明らかにすることを目的として,TiおよびTiCとの接合,TiCとカーボンナノチューブ接合部の構造モデルを提唱し,このモデルに基づき下記の第一原理計算を行い,接合部の構造を求めた。 1. Ti-TiC接合部(Ti_<48>-Ti_<19>C_<26>)についてのGGA密度汎関数バンド計算による構造最適化(VASP) 2. TiC-カーボンナノチューブ接合部(Ti_<19>-C_<24>C_<30>)ついての上記方法による構造最適化 3. TiC単体(Ti_<19>-C_<26>)のGGA密度汎関数法-LCAO計算による構造最適化 その結果,接合部の構造について下記の結果を得た。 1. Ti-TiC接合部においては,接合後も結晶構造はあまり変化せず,元の状態をよく保つ。 2. TiCの先端がC層の場合,ダイマー化が起こり,アームチェア型カーボンナノチューブ(3,3)の構造とよく似た構造となり,これがカーボンナノチューブとの接合となる。 3.上記のダイマー化したC層の中心(ナノチューブ断面の中央部)にC原子がある場合,これがTiC内部に入り込み接合部の構造を大きく変化させる。 結論として,提唱した接合部モデルは,第一原理計算による構造最適化においても初期構造を良く保っていおり,電子輸送のためのモデルとしての実現性が確かめられた。 また,カーボンナノチューブとFe原子(鎖)との相互作用についても,GGA密度汎関数-ウルトラソフト擬ポテンシャル-平面波計算を行い,Cサイトの違いよるFe鎖の構造や磁性について明らかにした。
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