研究課題/領域番号 |
17540301
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
馬越 健次 兵庫県立大学, 大学院・物質理学研究科, 教授 (10116098)
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研究分担者 |
島 信幸 兵庫県立大学, 大学院・物質理学研究科, 准教授 (90167445)
兼安 洋乃 兵庫県立大学, 大学院・物質理学研究科, 助教 (80364040)
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キーワード | 物性理論 / 物性基礎論 / 表面・界面物性 / トンネル現象 / ナノコンタクト |
研究概要 |
原子・分子架橋系の電子輸送現象および非弾性トンネル分光における表面吸着分子振動励起の本質を損なうことなく模型化し、非平衡状況下での電子状態と電子輸送現象との関わりを、明らかにする事を目的として研究を進めた。分子振動および電子正孔励起による非弾性効果を中心に研究を行った。このようなトンネル分光の場合に選択則が存在しないことは明白であるが、電子・振動の結合により生ずる異なる経路間の干渉効果により、擬似的選択則はあり得るため、非弾性電流の理論を適用することにより詳細な研究の推進を計った。具体例として銅の(001)表面に吸着したアセチレン分子の振動励起を記述する際に本質を失うことなく、物理的描像をよりはっきりできるモデルを構築した。具体的計算は現在進行中でる。弾性電流成分に対する散乱理論による定式化も推進し、「位相のずれ」とフリーデル総和則との関係を考慮した場合に電気伝導度量子化現象が上手く説明できることも示した。 また、超伝導物質が関与している場合も考慮できるようにするため、超伝導相関長の短い物質の電子状態に対して層表示を用いた定式化を行い、この電子状態表示を用いて超伝導対に対する方程式の拡張を行った。これを表面系及び層状欠陥層が存在する系に対して適用し、層垂直方向にエバネッセント波となる局在電子状態内の超伝導対形成により、表面及び欠陥層近傍の超伝導転移温度が上昇し得るることを示した。これにより、実験で観測されているように、電気抵抗Oによる超伝導転移温度が比熱およびマイスナー効果による転移温度より高くなり得ることを示した。さらに、銅酸化物における電子・格子相互作用によるJahn-Teller変形がどのようなものであるのかを調べた。
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