研究概要 |
高強度光子場励起下における半導体・半金属などのコヒーレント光学フォノンの量子干渉に関する実験的な研究を行った。平成18年度は多様な半導体(ゲルマニウム、ガリウムヒ素、テルル化カドミウム)、半金属(グラファイト、アンチモン)および絶縁体(ダイアモンド)についてポンプ・プローブ測定を行い、コヒーレント光学フォノンの時間挙動を介して電子フォノン相互作用のフェムト秒ダイナミクスを明らかにした。特に、 1)ゲルマニウムのような単元素半導体では誘導ラマン過程によりコヒーレント光学フォノンが誘起されるが、ガリウムヒ素やテルル化カドミウムのような極性半導体では表面電場の過渡的遮蔽による誘起が主であり、励起光強度依存性や偏光依存性により二つの機構が明確に区別できることを示した。(Ishioka et al.,J.Phys.Soc.Jpn.75,084704(2006);Ishioka et al.,Jpn.J.Appl.Phys.,45,9111(2006)). 2)ダイアモンド単結晶において40THzという高振動数(周期25fs)の光学フォノンの時間分解観測に成功した。光学フォノンの励起光強度依存性や偏光依存性を測定した結果、電子遷移を伴わない電場駆動型の生成機構であることを明らかにした。(Ishioka et al.,Appl.Phys.Lett.,89,231916(2006)).
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