研究課題
基盤研究(C)
本研究では、高強度光子場励起下における半導体・半金属などのコヒーレント光学フォノンの量子干渉に関する実験的な研究を行った。研究代表者らはこれまでビスマスなどの半金属について、強光子場励起下で全対称なフォノンの振幅がピコ秒時間領域で消滅・復活することを示した。本研究ではフォノン消滅・復活の量子性を検証するため、すでに消滅・復活が観測されている半金属ビスマスについて、全対称と反対称振動モードの比較などより詳細な実験を行うとともに、半導体も含めたより広範囲な物質ついて強光子場励起下のコヒーレント格子振動ダイナミクスに関する系統的な実験を行った。その結果、1.ビスマスにおけるコヒーレントフォノンの励起機構はこれまで考えられてきたような単純なDisplacive Excitationだけでは説明できず、フォノンの対称性によって電子系との相互作用が著しく異なる可能性を明らかにした。実験で得られた励起強度依存性や温度依存性は、ビスマスにおけるコヒーレントフォノンの消滅・復活がダイナミックな量子干渉(ファノ効果)であることを強く示唆している。2.II-VI族半導体のCdTeでは、コヒーレントフォノンが異常な励起強度依存性を示すことを見いだし、III-V族およびIV族半導体との比較から、これが化合物半導体に特有のコヒーレントフォノン励起機構すなわち表面電場の過渡的スクリーニングに由来することを見出した。3.サブ10フェムト秒光パルスを用いて、単結晶ダイアモンドの振動数40THzの光学フォノンを時間分解観測することに成功した。偏光依存性と励起強度依存性から、ダイアモンドは電子励起をともなわない、非共鳴誘導ラマン過程によるコヒーレントフォノン生成の典型例であると結論づけられた。これらの成果は、ポンププローブ反射率測定が半導体や絶縁体中の高振動数のフォノン、およびそれらと光励起キャリアの相互作用の超高速ダイナミクスを研究するうえで有力な実験手法であることを示している。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (13件)
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