研究概要 |
NaCl型構造を持つSmBiは約2.5GPaで構造変化を伴わない体積の急減があると簡単に報告されている。これが事実ならばSm原子に局在するf電子がこの圧力付近で非局在化することを意味している。我々はこれを確認するため、高圧下におけるSmBiの粉末X線回折を研究した。SmBiは合成が難しく、Biが不純物として残り易いので、最新の注意をはらいサンプルの合成を行った。放射光を用いて、0〜30GPaの範囲で研究した。我々の研究によれば約2.5GPa下で体積の急減を見出すことはできなかった。しかし、18GPa付近でNaCl型構造から正方晶への構造相転移を見出した。高圧相の結晶学的データは20.3GPaにおいて、a=3.775Å,c=3.25Å,c/a=0.86,V=46.4Å^3である。SmP, SmAs, SmSbの高圧下のX線回折は既に研究しているが、SmPとSmSbの高圧相の構造はいまだ未定である。一方、SmAsはNaCl型構造から正方晶に相転移し、SmBiの高圧相と同形となることがわかった。実験によって得られたSmBiの体積-圧力曲線に、Birchの固体の状態方程式fittingさせて、体積弾性率を求めることができる。得られたデータは体積弾性率,B_0=67GPa、その圧力微分2.6である。この値は既に研究されているCeBiやPrBiの値より大きい。我々は他の希土類ビスマス化合物、LnBi(Ln=La, Nd, Gd, Tb, Tm, Lu)のX線回折の研究も進め、新たな相転移も発見している。
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