研究課題
本研究課題の下、わが国で始めてネプツニウム金属間化合物のメスバウアー分光に着手した。^<57>Co線源と入手困難な^<241>Am線源を導入して、^<57>Feメスバウアー分光ならびに^<237>Npメスバウアー分光を反強磁性化合物NpFeGa_5に適用した。^<57>Feメスバウアー分光は室温から低温まで測定し、超微細パラメーターの温度依存性を詳細に調べた。内部磁場はT_N=117K以下でブリルアン関数的に増大し、4.2Kでは1.9テスラに達した。また、アイソマーシフトはデバイ因子を反映して参照物質のUFeGa_5(低温まで常磁性体)と同様の振る舞いを示した。常磁性状態で殆どゼロである四極子相互作用はT_N直下から60K付近まで負の値が観測され、磁歪が誘起されていると考えられる。さらに1テスラの磁場中での^<57>Feメスバウアー分光を測定し、外部磁場と内部磁場が逆向きであることが確認された。以上からFeサイトの内部磁場はNpモーメントからのトランスファーでは無くFe自身に磁気モーメントが発現しているものと考えられる。中性子回折からもFeの磁気モーメントの存在は示唆されている。さらに、^<237>Npメスバウアースペクトルを10Kで測定した。磁気分裂による16本のピークが観測され、内部磁場は204テスラに達しており、カップリングコンスタントとして経験値A=215T/μ_Bを用いるとNpの持つ磁気モーメントは0.94μ_Bとなった。また、アイソマーシフトはNpAl_2に対して+5.5mm/sとなりNpイオンは3価であることが確認された。わが国で初めてネプツニウム金属間化合物にメスバウアー分光を適用することにより、磁化測定・中性子回折で提案されていたNpFeGa_5の磁気構造に、定量性を与えることに成功した。
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