研究課題/領域番号 |
17540323
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小林 義明 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 講師 (60262846)
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研究分担者 |
佐藤 正俊 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40092225)
安井 幸夫 名古屋大学, 大学院理学研究科, 助手 (80345850)
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キーワード | Na_<0.3>CoO_2・1.3H_2O / ナイトシフト / 超伝導電子対 / 核磁気緩和率 / T_cへの不純物効果 / 反強磁性 / Na_<0.5>CoO_2 / 中性子回折 |
研究概要 |
本研究では、水和物コバルト酸化物超伝導体Na_<0.3>CoO_2・1.3H_2Oの超伝導相におけるスピン磁化率の異方性に関して、ごく最近まで混乱したデータも発表されるなかで確固たるデータを提供したことが第一の成果である。第二に、超伝導の母物質であるNa_xCoO_2(x=0.3〜0.7)に対して、その磁気特性を明確にしたことである。この結果は水和物における超伝導電子対の機構を決定する上できわめて重要である。 (1)Na_<0.3>CoO_2・1.3H_2Oの超伝導相においてCo核のNMRナイトシフトの測定を行った。単結晶試料を用いることにより、磁場方向をCoO_2面に対して平行、垂直両方に対して曖昧さのないデータ得ることにより、超伝導電子対がスピンシングレット状態にあることを明らかにした。この結果と超伝導転移温度T_cへの不純物効果の結論とCo核磁気緩和率1/T_1の温度変化の結果とを合わせて、超伝導電子対の対称性がs波的ある可能性を議論した。 (2)Na_xCoO_2でx=0.5の系は87Kと53Kで相転移を示す。Co-NMR緩和率1/T_1の温度変化から87Kでの転移が反強磁性状態への転移であることを示し、中性子回折と零磁場NMRの測定をもとに、この相の特異な磁気構造を決定した。CoO_2面内の電子スピンが反強磁性的に揃っていること、および87K以下発生した反強磁性モーメントは53Kの転移でほとんど変化を見せないことを結論付けた。また、Co-NMR緩和率1/T_1や磁化率の温度変化からx<0.6領域での磁気的性質はx=0.5の系と同様なものであることが示唆されるので、超伝導電子対形成に磁気的相互作用が関与している場合でも、(1)の結論である、電子対がスピンシングレット状態にあることと矛盾がないことがわかった。
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