研究課題
基盤研究(C)
テンソル積変分の視点から、密度行列繰込み群の手法開発およびその応用を次のとおり行った。1.従来より、密度行列繰込み群(DMRG)の無限系アルゴリズムによる数値計算を加速する手法として知られていた積波動関数繰込み群(PWFRG)について、その計算原理を角転送行列繰込み群(CTMRG)を経由して厳密に定式化した。特に、行列積で与えられる変分関数を空間方向に拡張する方法を、恒等行列である特殊な転送行列に対する繰込み群変換として表現することにより、計算の収束性について一定の保証を与えた。2.量子状態の時間変化を追う実時間DMRGでは、計算の進行とともに誤差が蓄積する問題を抱えている。これを改善する目的で、各タイムスライス上でのテンソル積により与えられる「作用」を構築し、その最小化によって量子状態の運動方程式を与えた。この表現により、反復計算による誤差の軽減が可能となった。また、実際の数値計算は並列化可能であり、最近のスーパーコンピューターにより高速処理できることが判明した。3.応用面では、正方格子上のバーテックス模型について、従来研究が行われていなかったパラメター領域の相図を研究した。その結果、新たにイジング普遍性を持つ臨界点を1つ発見した。また、相転移の様子を可視化する手法を用いて、臨界領域での短距離秩序形成等の観察を行った。4.海外協力研究者のAndrej Gendiarと継続して行っているANNNI模型についての研究では、秩序相からの磁壁形成エネルギーをDMRGにより精密に測定した。その結果として、この模型が不整合相を持つ可能性は非常に低く、相転移は秩序相より無秩序相へと直接的に起こることが、ほぼ確認された。但し、高温側の相転移の次数については確定ができず、今後の研究課題として残った。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (6件)
J. Phys. Soc. Jpn. Vol.75, No.1
ページ: 014003(1-8)
J. Phys. Soc. Jpn. Vol.75, No.11
ページ: 114001(1-5)
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J. Phys. Soc. Jpn. Vol.74, No.6
ページ: 1871-1872
J. Phys. Soc. Jpn. Vol. 74, No. 6