研究課題
1.屈曲ドナー型の(EDT-TTFVO)_2FeBr_4及び(BEDT-TTFVS)FeBr_4の強磁場磁化測定を行った。共振回路法を用いて0.4Kから10Kまでパルス磁化測定を行い、これを解析することによって強磁性磁気秩序温度を決定した。これらは比熱のピーク温度と一致していることが確認された。また、(BEDT-TTFVS)FeBr_4については1.5K以下で磁化曲線に明瞭なヒステレシスを観測し、強磁性の決定的な証拠を得た。2.(BEDT-TTFVS)FeBr_4系についてTTFVSをTTFVOで置き換えた試料とBrをClで置き換えた試料を合成し、系統的な極低温磁化測定を行った。(BEDT-TTFVS)FeBr_4以外の試料はいずれも強磁性を示さずに、反強磁性を示すことが明らかになった。3.ベンゾ基を含む屈曲ドナー型の(Benzo-TTFVS)_2FeBr_4及び(Benzo-TTFVO)_2FeBr_4反強磁性体についても極低温強磁場磁化測定を行った。4.新たなπd系分子性導体を開発した。やはり屈曲ドナー型の(EDT-DSDTFVSDS) 2・FeBr 4が金属伝導を示すことを発見した。5.これら一連の結果は、低温物理学国際会議(LT24、2005年8月、米国フロリダ、オーランド)、磁性国際会議(ICM2006、2006年8月、京都)、強磁場物理国際シンポジウム(RHMF2006、2006年8月、仙台)で成果発表を行うとともに、現在、8編の論文が出版(含、印刷中)されている。6.本年度、備品として巻線機を購入し、ピックアップコイルの製作等、磁化測定のハードを整備した。これは、本研究における測定精度改善に大きく寄与しただけでなく、精密磁化測定開発につながり、次年度以降の新たな研究の重要な礎を築くことになった。
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