研究課題
[1]放射光を用いたX線回折実験: SPring-8の放射光を用いて固体酸素ε相及びζ相の粉末結晶試料のX線回折データを収集し、リートベルト解析により分子の配向状態や原子間距離等の構造パラメータを決定し、ε相が酸素分子4個から成るクラスター:4(O_2)を形成していることを明らかにした。ε相における4量体クラスター構造は我々が以前に報告しているラマンや赤外吸収分光の結果を矛盾なく説明した。この構造はこれまでの理論及び実験研究からは予想されていなかった全く新しい分子の凝集状態といえる。(論文投稿準備中)。酸素及び窒素の高圧超臨界流体についてもSPring-8の放射光とダイヤモンドアンビルセルを用いた粉末回折実験を行い、局所構造とその圧縮性を求めた。その結果、酸素では分子軸の選択的配向を持つことが明らかになった。この配向性は窒素では見られないことから酸素分子の磁性が重要な役割を果たしていると見られる(論文投稿準備中)。[2] UVSOR吸収分光実験:分子研UVSOR光を用い酸素の高圧凝集相の紫外領域を含めた吸収スペクトルを収集し、広い圧力域で二分子吸収バンドと吸収端の圧力依存性を求め、エネルギーギャップの詳細な圧力依存性とギャップに対応する価電子帯の電子状態の帰属を明らかにした。この結果を2005年高圧力の科学と技術に関する国際会議で発表した。[3]超高圧発生法の技術開発:固体酸素の200万気圧を超える超高圧下の構造研究と関連して、ダイヤモンドアンビルのラマン分光を使った圧力スケールの開発および超高圧発生法の技術開発を目的に金属アルミニウム(Al)、金属スカンジウム(Sc)のX線回折実験を行い、200GPa以上の圧力下で2つの新しい高圧相を発見したので論文発表した(研究発表論文参照)。
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