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2006 年度 実績報告書

水熱合成法を用いた非ペロブスカイト型強相関酸化物の新物質開拓と低温電子物性測定

研究課題

研究課題/領域番号 17540341
研究機関中央大学

研究代表者

佐藤 博彦  中央大学, 理工学部, 助教授 (90262261)

キーワード強相関電子系 / 磁性 / 低温物性 / 物性実験 / 固体化学 / 結晶成長
研究概要

水熱合成装置による遷移金属酸化物の新物質開拓の試みを引き続き行い、以下のような成果を得た。
リチウムを含むルテニウム酸化物の物質探索を行った結果、cubic-LixRuO1+xという新しい酸化物を得た。この物質は、NaCl型結晶構造の陽イオンサイトを、LiとRuがランダムに占めている構造を持っていることが明らかになった。この物質の磁性をSQUID磁束計で測定したところ、スピングラス的な特性を示した。このことから、この物質は幾何学的なフラストレーションとランダムネスに由来する興味深い磁性体であるといえる。
さらにカルシウムとルテニウムを含む酸化物の物質探索を行ったところ、新物質Ca2Ru2O7を発見した。研究室現有の単結晶X線構造解析装置により解析を行った結果、この物質はパイロクロア構造を持つことが明らかになった。パイロクロア構造は3次元的な典型的フラストレーション系であり、磁気的な基底状態には非常に興味が持たれている物質群であるので、この発見は物性物理学の基礎研究上意義深い。この物質の磁化率を測定したところ、この物質はスピングラス的挙動と、温度に依存しないパウリ常磁性的挙動が共存する非常に特異な系であることがわかった。その解釈をめぐってはまだ研究の途上であるが、この物質が磁気的な摂動に極端に敏感な金属状態を取っており、わずかに生じたスピン分極が何らかの理由で秩序化しないという解釈が考えられる。
他の試みとして、鉄とホウ素を含む新たな酸化物の物質探索を行っているが、立方晶系の新物質を発見し、低温で何らかの磁気相転移を示すことを明らかにした。この物質に関しては、現在、単結晶を用いたX線構造解析を進めている。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] Spin-glass ruthenate : Cubic-Li_XRuO_<1+X>2007

    • 著者名/発表者名
      佐藤博彦, 相馬真琴
    • 雑誌名

      Journal of Magnetism and Magnetic materials 310

      ページ: 1517-1519

  • [雑誌論文] A Novel Pyrochlore Ruthenate : Ca_2Ru_2O_72006

    • 著者名/発表者名
      宗仲大弥, 佐藤博彦
    • 雑誌名

      Journal of Physical Society of Japan 75・10

      ページ: 103801-1-4

  • [雑誌論文] Lithium Ruthenates : Controlling Dimensionality and Topology of Magnetic-Ion Arrangements2006

    • 著者名/発表者名
      相馬真琴, 佐藤博彦
    • 雑誌名

      Journal of Physical Society of Japan 75・12

      ページ: 124802-1-7

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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