CeRhSi3は反転対称性のない結晶構造を持ち、常圧では反強磁性体であるが、圧力により反強磁性を抑制していくと、超伝導を示す。 それ故、この化合物は次の二つの点で極めて興味深い。1)超伝導が反強磁性から常磁性への量子相転移に関連していると考えられる点。2)反転対称性のない結晶に発現する超伝導である点。 H19年度は、この物質について、実験的に以下の点を明らかにした。1)前年度までの上部臨界磁場測定により、この物質の高圧力下の上部臨界磁場が著しく高い可能性が明らかになっていたが、今年度測定をより低温強磁場まで行い、絶対零度における上部臨界磁場がほぼ30Tに達することがはっきりした。2)前年度までに、磁場を磁化困難軸であるc軸に加えたdHvA効果の測定を、30kbarの高圧力まで行い、フェルミ面や電子の有効質量の圧力変化が遍歴モデルを示唆することを明らかしたが、今年度はa軸方向に磁場を加えた測定を行った。データは依然解析中であるが、やはりフェルミ面の不連続な大きな変化や電子の有効質量の発散などは観測されておらず、その振る舞いは遍歴モデルと矛盾しないように思われる。3)常圧での角度依存dHvA測定をCeRhSi3およびLaRhSi3について行った。結果は依然解析中であるが、LaRhSi3についてはバンド計算のフェルミ面で説明がつくが、CeRhSi3についてはLaRhSi3とは全く異なる結果で4f遍歴を強く示唆する。
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