1)高圧力下で超伝導を示す遍歴電子強磁性体UGe2について、高圧強磁場中の低温電気抵抗測定を行った。電気抵抗T^2の係数Aの圧力、磁場依存性を決定し、モーメントの大きい強磁性相からモーメントの小さい強磁性相に近づくときに、電気抵抗のT^2係数Aは、二つの相の間の転移磁場をBxとして、単一のパラメーター(B-Bx)だけの関数であり、近似的に、A ̄(B-Bx)^(-1/2)のべき乗則が成立することを明らかにした。このことは、相境界近傍で発現する超伝導の起源が、電子間相互作用にあることを強く示唆する。 2)反転対称性のない結晶構造を持ち、高圧力下で超伝導を示す反強磁性体CeRhSi3について、上部臨界磁場、dHvA効果の測定を30kbarの高圧まで行った。これにより、(a)圧力26kbar近傍で転移温度はたかだか1.1Kであるにもかかわらず、c軸方向の上部臨界磁場が30Tに達することが明らかになった。このことは、反転対称の無い超伝導体におけるパウリリミットについての最近に理論的研究と矛盾しない。(b)フェルミ面の圧力変化は連続的で、反強磁性状態でも常磁性フェルミ面上の大きなオービットが観測され、反強磁性秩序が出現してもフェルミ面がCe4f電子を含む大きなフェルミ面であることがわかる。また、電子の有効質量の圧力変化に発散が見られない。これらの振る舞いは重い電子系の量子相転移に対する遍歴モデルと良く整合する。
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