• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2006 年度 実績報告書

キャリアドープされた量子スピン系における電荷とスピンの秩序

研究課題

研究課題/領域番号 17540345
研究機関独立行政法人日本原子力研究開発機構

研究代表者

松田 雅昌  独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主幹 (90260190)

キーワード中性子散乱 / スピン相関 / 量子スピン系 / フラストレート磁性体
研究概要

スピネル型磁性体ACr_2O_4(A :非磁性元素)では正四面体の頂点に磁気モーメントが存在し、さらにこの正四面体が三次元ネットワークを構成している。この構造に起因してCr^<3+>スピン間の相互作用に強いフラストレーションが存在する。また、Cr^<3+>イオンは軌道の自由度を持たないためにヤン-テラー歪みを起こさず、相互作用に比べて充分に低い温度まで強いフラストレーションのために磁気秩序を起こさないと予想されている。しかし、実際の物質では低温で格子歪みを伴い長距離磁気秩序を起こす。これは、スピン・ヤン-テラー効果とも呼ばれ、スピンー格子相互作用に起因して発現する格子歪みとして興味深い現象である。さらに、ACr_2O_4では磁場中で磁化が一定になるプラトー現象が広い磁場領域で観測されており、上記の強いスピン-格子相互作用に起因すると理論的に予測されている。
我々は、上記の磁化プラトー領域におけるスピン-格子相互作用を明らかにするために、10テスラ付近で磁化プラトー相を示すHgCr_2O_4を用いて中性子およびX線回折実験を行った。最初に中性子回折実験を行い、ゼロ磁場でのCr^<3+>スピンの磁気構造を明らかにした。磁場を増加させていくと10テスラ付近で急激に磁気構造の変化が起こり、磁気ブラッグ反射のスペクトルが大幅に変化する。このスピン配列には幾つか可能性があるが、詳細な解析により対称性がP4_332の磁気構造(正四面体上の4個のスピンのうち3個が磁場方向に1個が磁場と反対方向に向く)を一意的に決定した。さらに、磁場中で放射光X線回折実験を行うことにより、結晶構造も磁化プラトー相で変化し、磁気構造と同様のP4 332の対称性を持つことを明らかにした。これは、この系においてゼロ磁場で見られる磁気転移のみならず、磁場中での磁気転移にもスピン-格子相互作用が大きく関与していることを示している。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (4件)

  • [雑誌論文] Magnetic excitations from the singlet dimerized state in Na_2Co_2(C_2O_4)(H_2O)_22007

    • 著者名/発表者名
      M.Matsuda, et al.
    • 雑誌名

      Physical Review B 75

      ページ: 012405

  • [雑誌論文] Spiral spin structure in the Heisenberg pyrochlore magnet CdCr_2O_42007

    • 著者名/発表者名
      M.Matsuda, et al.
    • 雑誌名

      Physical Review B 75

      ページ: 104415

  • [雑誌論文] Spin-lattice instability to a fractional magnetization state in the spinel HgCr_2O_42007

    • 著者名/発表者名
      M.Matsuda, et al.
    • 雑誌名

      Nature Physics (印刷中)

  • [雑誌論文] Successive magnetic phase transitions in α-Tb_2S_3 studied by neutron diffration technique2006

    • 著者名/発表者名
      M.Matsuda, et al.
    • 雑誌名

      Journal of Physical Society of Japan 75

      ページ: 074710

URL: 

公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi