研究課題
ヘリシティ(速度と渦度の相関)概念を用いた変分解析を実行した。その結果、ヘリシティ一定という拘束条件の下で、平均流の渦の強さを極小にするような平均速度場の配位が、旋回乱流での平均場の配位とよく一致することがわかった。さらに、角運動量の束縛条件も加味することで、平均主流が、旋回流とは全く逆の振る舞いを示す自軸回転円管乱流についても変分解析を導入することが可能であることを示した。これは、一見正反対の現象を、ヘリシティという統一的な視点から説明するものである。ヘリシティは乱流場の大規模構造を決定するきわめて重要な物理量である。しかし従来、乱れ場のヘリシティを評価し、乱流モデルの計算を実行することは困難であった。この状況を打開するため、旋回乱流のこれまでの実験について詳細なデータ解析を行った。その結果、乱流の諸応力のうちヘリシティを生成するのに最も寄与の大きい項を特定することに成功した。これらの成果は、日本物理学会の第61回年次大会で発表された。さらに、数値計算を困難にする元凶となっていた、円管軸付近の流れ場について物理的考察を加えて較正法を考察し、数値計算用のデータを整備した。以上の成果に加えて、磁場を含むような流れ場中の乱流の特性を規定するクロス・ヘリシティ(速度と磁場の相関)の効果を調べ、エネルギーの等分配からのずれが、このヘリシティで説明できることを初めて示した。この成果は、2006年5月合州国地球物理連合主催の西太平洋地球物理会議(Western Pacific Geophysics Meeting)で招待講演として発表された。また2006年7月の乱流の国際会議で紹介された。
すべて 2006
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Physics of Plasmas Vol.13, No.6
ページ: 062306 1-17