超臨界流体において、通常の熱拡散過程ではなく、音波による高速熱輸送が起きていることが、我々が開発した時間分解能1μsの、光学干渉計による高速高精度な密度測走により、確かめられてきた。 今回、特に加熱幅2.5μsと、極めて短いパルス加熱により発信した音波の波形を解析し、熱的に音波が発生する現象を確認した。 この超高速熱輸送のメカニズムを研究するため、更に臨界点に接近する必要がある。それには温度Tだけでなく、試料流体の密度の正確な調整が非常に重要となる。臨界点T_cより低温の共存領域では液体と気体の密度差は臨界点に接近するにつれ発散的に減少し、液面の高さは温度変化する。この変化をCCD画像から解析することにより、我々の試料流体密度は、臨界密度に0.5%以内で一致することが確認された。この密度精度は、換算温度(T-T_c)/T_cで10^<-6>まで、臨界点に接近することが可能となる精度である。 臨界点に接近するにつれ、流体の密度揺らぎが発散し、流体からの多重散乱光が急激に増大するため干渉計の感度が低下する。そこで、光源を赤外線レーザーとする装置を試作し、有効性を示す結果を得ている。更に調整し、実用化していく。 これらの結果の一部は、宇宙機構が開催した第22回宇宙利用シンポジウム(06年1月17目、於学術会議)や物理学会(06年3月、30pXF2)で速報され、また米国の学術雑誌に投稿中である。
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