研究概要 |
Sierpinskiカーペット上のAnderson局在,およびAnderson転移の研究を完成させた。系のランダム性からLandauerコンダクタンスとエネルギー準位間隔は統計量となる。それらの統計を有限サイズスケーリングで解析した。これらの統計分布は電子状態の局在領域,臨界領域,拡散領域で異なる特徴的な振る舞いを示す。この解析により,SC(5,1)Sierpinskiカーペット上でAnderson転移が生じることを示した。さらに臨界点での長さのスケールの発散を特徴づける臨界指数を評価した。全く同じ解析をSC(3,1)Sierpinskiカーペットにも行ったが,Anderson転移は見られず,状態は必ず局在した。これより,symplectic対称性をもつハミルトニアンで記述される系でのAnderson転移の下部臨界次元は2よりも小さいことを確認した。1次元ではAnderson転移が生じないことがすでに知られているので,下部臨界次元は1以上で2よりも小さいことが明らかになった。この下部臨界次元の値をより正確に評価するよう,現在検討中である。 ランダムレージングの研究に関しては,シミュレーションに必要なソフトウェアデザイン,特に静的クラス構造を示唆するUML (Unified Modeling Language)ダイアグラムを完成させ,このデザインに沿ったプログラミングをはじめた。 大槻はGaNナノコラムでのランダムレージングの可能性を上智大学の実験グループと議論した。またランダムに分布した障害物がある場合の音波の伝搬を議論した。
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