Chalker-Coddingtonタイプの量子ネットワークモデルの大規模数値シミュレーションを行った。転送行列法により、非常に長い準1次元系における局在長を、系の幅やエネルギーの関数として計算した。非常に長い系を考えることで、従来と比べてはるかに精度のよい(0.03%)のデータセットを集めた。得られたデータセットに対して、従来は取り入れられていなかった、スケーリング補正を取り入れた有限サイズスケーリング解析を行った。この解析の結果、量子ホール効果におけるAnderson転移の臨界指数を、従来得られていたものよりも高い精度で決定した。この結果はここ20年間の実験結果の解釈に大きな変更を迫る重要なものである。またスケーリング補正を取り入れた場合、量子ホール臨界点で仮定されている共形普遍性から導かれる等式が成立し続けるかどうかをチェックした。 上智大学のレーザー物性の実験グループと協力して、基盤上に不規則成長した窒素ガリウム(GaN)ナノコラム集団におけるランダムレージングを観測した。ナノコラムとは、半径がナノサイズで高さがマイクロメートル程度の物質で、ナノコラム集団とはこれらが密に基盤上で成長したものを指す。 FDTD (finite difference time domain) 法によりこうしたナノコラム集団を伝搬する電磁波の数値シュミレーションを行い、上記で観測したランダムレージングの発生条件を評価した。
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