|
平成17年度は、1)1次元強相関電子系に関する相構造の研究、および2)2次元古典格子模型の相転移に関する研究を行った。共に相転移現象を記述する臨界固定点がガウシアン型であることより、同じ数値的手法(レベルスペクトロスコピー法、現象論的くりこみ群の方法)を用いることにより系の大域的相構造を決定することが出来た。以下にその概要を、本年度発表された研究論文ごとに纏める。
1)Phys.Rev.E72(2005)046103:
正方格子上反強磁性3状態ポッツ模型は基底状態においてガウシアン臨界性を持つことが知られている。この模型に次近接強磁性カップリングを加えた模型は、所謂6状態クロック模型と同じユニバーサリティークラスに属すると考えられる。我々はレベルスペクトロスコピー法を用いることで、BKT転移点を正確に求め相境界を精密に決定し、さらに相境界上での理論的予想を数値的に検証した。
2)Phys.Rev.B71(2005)155105:
強相関電子系に対する交替ポテンシャルの効果はモット絶縁体に対するイオン性の影響を調べる目的で議論されて来た。1次元イオン性ハバード模型はπ共役電子有機物質などのモデルであるが、電子相関により分離していたスピンと電荷の再結合がおこる為、その解析は困難であった。我々は場の理論に基づく数値解析を通してその大域的相構造を解明し相転移のユニバーサリティークラスを決定した。その結果、Fabrizioらによって予想されていた通り、モット絶縁相とバンド絶縁相の間にいわゆるボンドオーター波相が安定化されることを確認できた。
|
