平成19年度は主に2次元古典スピン系の示す臨界現象についての研究を行った。1次元量子臨界系を記述するガウス型固定点は、一方で多くの2次元古典スピン系の臨界性をも記述する。例えば1次元量子スピン系に見られる現象と本質的に同等な振る舞いを2次元古典系に対しても見出すことができる。以下の文献ではサザーランドらにより詳しく調べられているSU(3)量子格子ガス模型と同じ(所謂central charge c=2の)臨界性を示す、三角格子上に定義された三体相互作用をもつ模型についての考察を行っている。 J.Phys.Soc.Jpn.76(2007)073002. 格子点上にはZpクロック変数が定義されているが、我々はまず模型の持つ対称性より、この系の有効理論が所謂ベクトル双対サインゴルドン場の理論により与えられることを結論した。状態数p≧4では低温秩序相と高温無秩序相との間に臨界相を持つことが理論的に予測されるが、我々はまず系の転送行列の固有値解析を行うことで、上記臨界的中間相の存在と共にその臨界性(c=2)を確かめた。更に系の持つ自己双対点における低エネルギー励起の性質を調べ、それが上記場の理論の予言と一致することを明らかにした。またcentral chargeの振る舞いから2つの転移温度の大ざっぱな見積もりを与え、2つの連続転移の性質について議論した。 本模型に関連する研究については現在継続中である。
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