熱力学的変数:によって記述される多成分流体系について、時間に依存する「射影演算子」を導入して、揺らぎに関するランジュヴァン方程式の導出を行った。流体方程式の非線形を入れた方法では、射影演算子が射影演算子の性質(二乗しても元の演算子)を満たさず、またエルミート性を持たない等、問題があったが、射影演算子の定義を変えて、平均値からのずれに対する線形近似が厳密に出るようにしたところ、線形項について、揺動散逸定理に対応する形式が得られた。 また、ランジュヴァン方程式において、ノイズ項について、ガウス白色ノイズの近似をして、経路積分法により、揺らぎの経路の確率を導入すると、ある揺らぎの確率に対して、その時間反転をした揺らぎの確率との比をとると、エントロピー生成速度で現れることを示した。さらに、非平衡開放系における揺らぎについては、「揺らぎの循環」が、エントロピー生成速度に対応することを示した。
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