研究課題/領域番号 |
17540364
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
山中 由也 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (10174757)
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研究分担者 |
奥村 雅彦 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (20386600)
峰 真如 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (80434306)
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キーワード | 場の量子論 / 物性基礎論 / ボーズ・アインシュタイン凝縮 / 数理物理 |
研究概要 |
中性原子気体のボース・アインシュタイン凝縮系に対しては、その高い実験制御性から、様々な状況における量子多体系が実現されている。特に、興味深い現象として、高次量子渦を持つ凝縮体や光学格子ポテンシャル中の流れのある凝縮体に見られる崩壊現象が、実験で観測されていることである。現象論的理論解析では、凝縮体の周りの揺らぎ(古典場)が従う方程式が複素固有値を持つためと解釈されている。我々はこれまでのように、基礎理論である場の量子論の立場から、理論的定式化を行い、従来の理論解析との比較を行いながら、実験結果と比較することを目指した。 先ず、高次量子渦が存在して励起状態を記述するBogoliubov-de Gennes方程式に複素固有値(これまで議論してきたゼロ・モードに加えて)が出現する場合にも、場の演算子の正準交換関係を保持することを要請して矛盾のない理論を構築した。その際、複素固有値モードに付随して自然と不定計量が登場し、その結果従来のFock空間とは異なる状態空間での記述が必要となっている。この定式化に基づき、外部からのポテンシャル擾乱による線形応答を用いて、実験と比較できる計算結果を導いた。古典場による解析に比べ、明らかに正しく量子効果が取り入れられている。これらの結果は既に国際会議で報告し、論文にて発表している。 また、任意の高次量子渦を持つ凝縮体において、複素固有値が現れるモードに対する条件式を導出した。その結果は、渦度が2以上の高次量子渦の場合、必ず複素固有値が現れることを示した。成果は国際会議で発表し、まとめた論文を投稿中である。 さらに、光学格子ポテンシャル中の流れのある凝縮体の場合についても、定式化が拡張可能であり、それについて論文として纏めている。
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