研究概要 |
構造ガラスの問題への第一原理からのアプローチとして注目をあびているモード結合理論の妥当性を調べる手段として高次のループ展開を計画した。しかし最近この分野で新しい発展がありこの計画をただちに実行することが困難になっている。現在、この新しい展開を折り込んだ計算法を開発中である。そこで今回はモード結合理論と密接に関連している動的密度汎関数理論について研究した。この理論には決定論的なバージョンと確率的なバージョンとがあって論争が起きている。我々はこの両者を両極限を含むより一般的な理論を射影演算子法を用いて定式化した。(引用文献のPhysicaAとJSPの論文。)この理論の重要な点は従来のモード結合理論で欠けていた活性化過程を自然にとり入りられることである。この点を詳細に検討するために1変数の簡単な模型に我々の理論を適用して、この模型では熱的活性化過程がどの様に記述されるか数値的な分析をふくめて現在研究している。これは川崎、加藤、熊谷の共同研究である。 一方固体表面の様に限られた空間でのガラス転移はガラス研究の重要な側面である。これに関連して加藤とその協力者はシリコン表面の問題に取り組んだ。即ち実験的に見出されたSi(111)DAS構造の相転移の説明のために以前加藤によって提案されたCell Modelに基づき,動的モンテカルロシミュレーションを用いてこの現象を解析した.結果は,実験結果の特徴を良く再現した.この研究は引用文献中のSurface Science誌の論文に発表されている。
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