研究課題/領域番号 |
17540368
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
松本 秀樹 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (40209648)
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研究分担者 |
大橋 洋士 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (60272134)
小山 富男 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (30153696)
町田 昌彦 日本原子力研究所, 計算科学技術推進センター, 主任研究員 (60360434)
山田 進 日本原子力研究所, 計算科学技術推進センター, 研究員 (80360436)
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キーワード | 量子原子気体 / ボーズ・アインシュタイン凝縮 / BCS / BECクロスオーバー / 絶縁体・超流動転移 / オプティカル格子 / フェシュバッハ共鳴 / 超流動渦糸状態 / ハバード模型 |
研究概要 |
「研究の目的」 量子原子気体のBEC/BCS状態について、(1)BCS/BECクロスオーバーに付随して生じる現象と励起モード、(2)光学格子での量子原子ガスと絶縁体・超流動転移で生じる現象、(3)渦糸状態と渦糸生成過程、(4)凝縮体形成過程と非平衡現象に焦点を合わせ、量子原子ガスの静的・動的性質を解明とを研究の目的とした。 「本年度の研究実施計画と実績」 (1)Feshbach共鳴で実現されるフェルミ原子ガス超流動について、BCS/BECクロスオーバー現象を中心に研究した。強結合領域での繰り込み群による解析から、T=0Kでの散乱長が繰り込み効果を受けること、分子間相互作用が多体効果により温度変化を持つ事を明らかにした。一粒子励起スペクトル、rf-トンネルスペクトルを計算し、実験を定量的に説明できることを示した。Feshbach共鳴がnarrowの場合とbroadの場合についての比較を行い、散乱長で記述すると物理量の振る舞いはほぼ同じであることを示した。 (2)-1光学格子での量子ボーズ原子ガスの絶縁体・超流動転移で生じる現象を光学格子の影響をハバード模型に帰着して解析した。超流動・絶縁体近傍の励起スペクトルを強結合近似を用いて計算し、超流動状態では、ギャップレスの励起スペクトルに加え、絶縁体的なギャップを有する励起スペクトルが現われ、バンド構造に「局在・遍歴」の二重構造がみられることを見出した。NCA近似で量子補正を取り入れると、低エネルギー側への状態密度の移行が転移近傍で起こり、相関の強い低エネルギー励起が超流動状態に形成されることがわかってきた。 (2)-2光学格子での量子フェルミ原子ガスについては、ハバード模型による数値的解析を続けた。トラップポテンシャルの影響で、局所的ドープ量の違いにより、絶縁体領域のスピン揺らぎを媒体とした新たなクーパー対生成の機構が可能なことを提唱したが、スピンを多く注入することにより、新たな擬スピン磁性が可能なことを指摘した。 (3)BCS/BECクロスオーバー領域での渦糸状態をボゴリウボフ・デゥジャン方程式で解き、励起状態のエネルギースペクトルを解析し、この領域で渦糸中心での粒子分布が減少されること、不連続コアーレベルが形成されること、それらが観測可能であることを指摘した。 (4)光学格内での量子原子ガスの非平衡現象への予備的計算を行った。
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