研究概要 |
原子・分子に光をあてると励起され、励起状態は光や電子を放出して崩壊する。近年における実験技術の向上は、中間状態の寿命を超える長時間の量子力学的な相関が光励起過程と崩壊過程の間に存在して、これが観測可能になったことを示した。この事は、光励起状態の生成とその崩壊という二段階過程がその素朴な意味においては成立しないことを意味する。本研究では、二段階過程のモデルがどのように修正・精密化されるべきか明らかにし、励起と崩壊の間の時間相関を制御する方法を探る。 本年度は、下記会議に参加し研究成果の発表を行うと同時に情報の収集を行った。 (1)平成18年7月16日より7月21日まで、オーストリアのインスブルックで開催された第20回原子物理学国際会議(The 20^<th> International Conference on Atomic Physics)に出席して、ポスターセッションにて下記の原著発表を行った。 1.Title : Time Evolution of L-S Coupling Phase in Photon-Impact Induced Autoionizing States. (1)Author : F.Koike^1 and M.Koide^2 (2)Authors Affiliation: 1:School of Medicine, Kitasato University 2:Physics Department, Meisei University (2)会期中、全てのオーラルセッションとポスターセッションに出席し、情報の収集をおこない、討論に参加した。 (3)会議においては、伝統的な精密測定に関する報告も多かったが、加えて、ボーズ・アインシュタイン凝縮や、量子情報理論に関する報告も多くなされ、原子物理学の近未来における方向を示唆する会議になっていた。 いくつかの論文を完成し出版した。
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