研究課題/領域番号 |
17540377
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
原子・分子・量子エレクトロニクス・プラズマ
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
諏訪田 剛 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 講師 (20236061)
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研究分担者 |
古川 和朗 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助教授 (00190132)
佐藤 政則 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助手 (90353367)
梅森 健成 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助手 (60353364)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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キーワード | 陽電子源 / タングステン単結晶標的 / チャネリング放射 / 干渉性制動放射 / 電子線型加速器 / 陽電子生成 / 単結晶標的 / Single crystal target |
研究概要 |
高エネルギー加速器研究機構(KEK)を中心とする結晶標的開発研究グループ(KEK、首都大学東京、九州シンクロトロン光研究センター)は、これまで開発を進めてきたタングステン単結晶標的について、Bファクトリー加速器(KEKB)における入射電子のエネルギーに対する厚さの最適化をすることで、従来の標的に比べ生成される陽電子数が増大することを実験的に検証した。この成果は、平成17年度から平成18年度にかけて良質で結晶乱れのない厚いタングステン単結晶を開発することに成功し、更に、KEKB入射器では約10mmの厚さが最適な標的であることを実証したことによるものである。また、電子ビームを正確に結晶軸に沿って照射できるように結晶標的の加工・装着法を確立することで、平成18年9月に、KEKB入射器の陽電子源に最適化した結晶標的を実際に設置して運転を開始したところ、陽電子生成効率が従来のタングステン金属の標的に比べて約25%向上したことを確認した。この結果、KEKBリングに入射される陽電子ビームの強度は、運転開始以来の最高値(1バンチ当たり1.8nC)を記録し、実用的な連続運転に耐えることを実証した。 これらの技術的成果は、タングステン単結晶が高エネルギー加速器の陽電子源として実用化できることを実証したもので、世界的にも初めての成果である。このことにより、KEKBの性能向上のみならず、次世代の高エネルギー加速器における陽電子源への応用にも大きく貢献するものと期待される。また、結晶標的からは、強力なX線が放射されるので、医療・工業用のX線源としても広範な応用利用が可能で、標的材料や標的形状の最適化を行うことにより、従来の陽電子源・X線源に比べ輝度や強度を大幅に向上させることが期待される。
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