研究概要 |
生態系とタンパク質を対象に「進化的に形成」されたランドスケープの特徴についての研究を進めた。 生態系については、一般的な進化動力学モデルに対する統計力学的研究を進めた.生態系における種、細胞内の代謝物質、タンパク質、mRNAなどの量の分布の,系の生産性・成熟度や反応の資源量などに対する依存性を解析的に得た.また,HIVなどのウィルスと免疫系のモデルにおける,AIDS発症まで無症候期間などについても調べた(いずれも論文投稿準備中). タンパク質については特にモータータンパク質の自由エネルギーランドスケープに重点を置いた。具体的には、(1)キネシンとそのレールの役を果たすチューブリンの自由エネルギーランドスケープを計算し、大きな構造揺らぎはスイッチ領域などの機能上重要な部分に局在していることを見出した。微小管が単なるレールではなく、キネシンと協同的に働いてモーターとして機能していることを示唆する結果を得た(論文投稿中)。(2)分子モーターであるミオシンについて、運動に伴う構造緩和とヌクレオチド解離との協同性を調べ、ヌクレオチドが自由エネルギーランドスケープの構造を切り替えるスイッチとしてはたらくことを示唆する結果を得た(論文投稿中)。 なお、昨年度投稿した論文が4本、雑誌掲載された。
|