研究概要 |
測量や段丘面高度のデータに粘弾性媒質を用いた定常的地殻変動も考慮した物理的に妥当な地震サイクルモデルを適用し、南関東地域で発生する元禄型地震の震源断層域の特定をめざして平成19年度は以下のことを行った。 房総半島南部で行った観測(課題番号16204038 代表 千葉大 伊藤谷生)の結果、房総半島南沖に小海山の沈みこみがあることが判明したので、これまで収集した震源分布や構造調査のデータと合わせて、より詳細なプレート境界面モデルを作成することを行った。これまでの8kmx8kmメッシュを精緻化し、4kmx4kmメッシュのモデルを房総半島南部に再構築した。この新しいプレート境界形状を用いて元禄地震のすべり分布を求めたところ、パターンはあまり変化しなかったが、すべり量が2mほど小さく求まった,これは、小海山のよってプレート境界のdipが大きくなったためと考えられる。 平成18年度までの研究で、房総半島での海成段丘データから元禄地震のすべり分布の推定がなされているが、地表変動の結果から、三浦半島付近が沈降してしまい、三浦半島でも元禄地震の段丘がみられるという事実を説明できなかった。宍倉(2003)の三浦半島、相模湾の段丘データによると、元禄地震時、相模湾側は大正型と同程度変動していると示されているので、相模湾側は大正型と同じすべり分布をしたと仮定して、元禄型のすべりを求めた。その結果、相模湾側も隆起域となり、よりデータを説明するモデルができた。
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