研究課題
基盤研究(C)
測量や段丘面高度のデータに粘弾性媒質を用いた定常的地殻変動も考慮した物理的に妥当な地震サイクルモデルを適用し、南関東地域で発生する元禄型地震の震源断層域の特定をめざして研究を行った。粘弾性媒質を用いた物理的に妥当な地震サイクルモデルを適用することで、海成段丘などの過去の痕跡から、地震時の変動と定常的変動、地震後のカップリングや粘性緩和による変動などを、正しく分離することができる定式化を開発することに成功した。この定式は、複数の時代の異なる段丘面から、定常的隆起速度が見積もれること、複数の段丘面と地震の繰り返し間隔がわかれば、地震時のすべり分布や地震後の変動が見積もれることなどを示した。この方法を房総半島にある海成段丘に適用し、1703年の元禄地震の震源分布について推定を行った。その結果、元禄地震の震源域は、房総半島南部を中心に20m弱のすべりをしていることが示された。また、プレートの相対運動による定常的な運動と地震時の変動、地震間の粘性緩和による変動、すべり遅れによる変動の分離を試みた。その結果、元禄地震のみによる地震間の変動は、定常的隆起がすべり遅れによる沈降を上回り、地震時に隆起したところでも地震間にゆっくり隆起することが示された。これは、これまで地震時に隆起した場所は地震間に沈降するという従来の考えと違うものである。この方法を他の地域に適用することにより、地震学、測地学的データが取られる以前の過去の地震の震源域が、よりよく求まるようになるものと期待される。
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千葉大学理学部地球科学科2005年度卒業論文
ページ: 37
2005 Bachelor theses of Department of Earth Sciences, Faculty of Science, Chiba University