研究概要 |
北海道沿岸域の湧別沖で1999-2001年の冬季に得られた氷厚の係留観測データの解析結果から、draft(水面下の海氷厚)の平均値が0.60mであること、力学的な変形を受けた海氷の割合が80%と非常に高いことなどを明らかにし、これらの結果をFukamachi et al.(2006, Journal of Geophysical Research)にまとめて発表した。また,国立環境研のセジメントトラップ観測と共同で、2005-06年に紋別沖で実施した係留観測の結果から、生物起源や岩石起源の沈降物質の質や量が海氷の有無とともに変動していることを示し、これらの結果をHiwatari et al.(2008, Polar Science)にまとめて発表した。 サハリン北部沿岸域で2002-03年の冬季に得られた氷厚データの解析結果から、draftの平均値は1.05mで、北海道沿岸域に較べて顕著に大きいこと、0.2m程度の薄い海氷と数mを超える厚い海氷が卓越する時期が有り、それぞれ沖向きと岸向きの漂流速度に対応していること、薄い海氷の時期には海水中の塩分の上昇が見られ、ポテンシャル密度が26.7を超える高密度陸棚水が存在すること、観測された塩分の上昇が、大気と海氷・海洋間の熱収支から計算される海氷生産量から求められるものでよく説明されることなどについて明らかにし、これらの結果をFukamachi et al.としてまとめ、Continental Shelf Researchへ投稿中である。
|