研究課題
基盤研究(C)
オホーツク海南部の千島海盆は北太平洋中層水の源であり、物質循環においてもキーエリアである。この海域では時計回り循環や渦が卓越しており、それに対応するように中層水にあたる密度では分厚い混合層(低渦位層)が分布している。また、宗谷暖流、親潮、東樺太海流が流れこみ、非常に複雑な海域である。そのような千島海盆の時計回り循環が生ずるメカニズムを、単純化されたモデルと、現実的なシミュレーションを用いて研究した。単純化されたモデルでは、千島列島を海嶺と考え、その直上での潮汐混合が引き起こす千島海盆内の循環を調べた。まず、局所的混合が小さければ線形解が成立することを確かめた。混合を大きくすると、渦位のインプットは中規模渦による混合領域から消散とバランスし、密度境界面の深さが決まること、海底地形がある場合には、地形に沿った下層の流れ場が上層の波動の特性曲線を変えるため、境界面深度に対して大きな影響を与えること、が明らかとなった。特に、特性曲線が閉じる場合にはロスビー波が海嶺上で捕捉され、注入された渦位をなかなか解消されず、境界画が大きく深まる。地形に沿った下層の流れ場が上層の波動の特性曲線を変えるため、境界面深度に対して大きな影響を与えること、が明らかとなった。特に、特性曲線が閉じる場合にはロスビー波が海嶺上で捕捉され、注入された渦位をなかなか解消されず、境界画が大きく深まる。地形に沿った時計回り循環は潮汐残差流で生じるので、本研究で述べた境界面深化のメカニズムは現実にも起こっている可能性が高い。現実的な高解像度モデルでは、風成循環の影響を調べた。東樺太海流の一部がサハリン島南東端で東方へ離岸し続流を形成しており、続流の南方に千島海盆全体にわたるような時計回り循環が生じていた。また、宗谷暖流が知床半島から流出するときには暖水渦が形成していた。宗谷暖流は大きく季節変動するため、それに伴って暖水渦も秋に生じた。これらは観測結果と良い対応を示す。このように、千島海盆はオホーツク海内の限られた海域ではあるが、内部潮汐による熱塩循環と風成循環が相俟って時計回り循環が作られている複雑な海域であることが明らかとなった。
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