本研究は、歴史時代から現在にかけての長期の全天日射量変動について明らかにすることを目的とする。江戸時代を中心に、日記の天気記録から全天日射量の推定と明治時代以降の日照時間から全天日射量を推定し、歴史時代から現在にわたる長期の全天日射量の変動について解析する。 全天日射量の推定式におけるパラメータはその地点における観測値から地点別、月別、天気別の平均値である。しかし、天気の記録地点に全天日射量の観測値が存在するとは限らず、任意に存在する天気記録に応用する場合、近隣の観測値といっても、定量的にどの程度近隣である必要があるかという問題がある。この経験モデルにおける高次のパラメータを決定するために、現在の気象観測所のデータから求めたパラメータが任意に存在する天気の記録地に利用することが可能か、その空間的な代表性を調べた。日本気象学会2005年秋季大会において、任意の地点のパラメータで異なる任意の全天日射量を推定した場合の推定誤差を算出し、その互換性を検討した。さらに、任意の2地点のパラメータがどの程度類似性があるかクラスター分析を試みた。類似している地点でグループ化し、グループ内のパラメータの平均値をパラメータとした推定を行った。グループ内での推定結果は全地点の誤差の平均が6.6%であった。これは、日本気象学会2005年秋季大会、お茶の水女子大学複合領域科学シンポジウムで発表した。 2005 American Geophysical Union Fall Meetingにおいて、日記天候記録を用いた1720年から1902年までの東京における全天日射量の推定結果を発表した。97年データの重複がある石川日記と関口日記から全天日射量推定値を求め月別に変動を議論した。
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