研究課題/領域番号 |
17540412
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
竹広 真一 京都大学, 数理解析研究所, 助教授 (30274426)
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研究分担者 |
山田 道夫 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (90166736)
林 祥介 北海道大学, 理学研究院, 教授 (20180979)
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キーワード | 木星型惑星大気 / 東西帯状構造 / コリオリ力 / ラインズ効果 / ロスビー波 / 周極ジェット流 |
研究概要 |
本年度は昨年度にひきつづいて回転球殻内の外側安定成層内の流れに注目し、非常に薄い安定成層中の流体運動をモデル化した回転球面上の非圧縮2次元流体モデルを用いた減衰性乱流の研究をより詳細に行った。スペクトル法を用いたモデルブログラムを用いてこれまでに取り扱われてきた研究よりも系の回転角速度を2桁ほど大きい値の場合まで扱い、全運動エネルギーが等しく位相の異なる25通りの初期状態からはじめて東西平均運動エネルギーの時間変化が落ち着くまでに十分に長く時間積分を行った。 最終状態をアンサンブル平均した流れ場を解析した結果、回転角速度の大きさによらず、東西流のバンド構造と西向き周極ジェット流への緯度方向の不均一な運動エネルギーの集積が見いだされた。長時間積分の間、東西流のバンド構造は比較的初期の段階で生成される。これに対して後の長い時間の問には中低緯度のバンド構造はもはや発達せず、周極流のみがゆっくりと強化されていき、運動エネルギーが集中していく。ロスビー波の持つ作用の緯度方向フラックスを解析した結果から、この西向き周極流は西向き運動量を持つロスビー波が赤道から極方向へ伝播し極域で吸着されることで形成されることが確認された。 不均一な運動エネルギーの集積の程度は系の回転角速度とともに増加し、高速回転の状況ではほとんど全ての運動エネルギーが周極流に集中する。この回転角速度の変化による運動エネルギーの集積および周極流の強さと幅の変化を記述する理論モデルを、次の2つの仮定: (1)周極流の中心緯度は局所的なラインズスケールと極からの距離が同じになる緯度である。 (2)周極流よりも低緯度側に初期に存在している渦が周極ジェットの生成に全て寄与する。 から構築した。このモデルは数値計算の結果を良く説明する。 以上の成果を現在Journal of Atmospheric Sciencesに投稿中である。
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