研究課題/領域番号 |
17540413
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
冨田 智彦 熊本大学, 理学部, 助教授 (20344301)
|
研究分担者 |
安成 哲三 名古屋大学, 地球水循環研究センター, 教授 (80115956)
斉藤 和之 地球環境フロンティア水循環領域, 研究員
吉兼 隆生 地球環境フロンティア水循環領域, 研究員 (40392964)
日下 博幸 電力中央研究所流体科学領域, 主任研究員 (10371478)
|
キーワード | 気候変動 / 環境変動 / 水循環 / 地球変動予測 / 梅雨 |
研究概要 |
平成17年度は、まず梅雨前線活動の経年変動にとって黒潮及び黒潮続流域の約1ヶ月前の水温変化が重要であることを指摘(日本気象学会2005年度春季大会)。これは梅雨前線の北上に先立つ表面からの熱フラックスがやがて訪れる梅雨前線の強弱をコントロールしている可能性を示唆し、大規模な梅雨前線活動の予測がある程度可能であることを示している。また同時相関での関係が弱いのは、梅雨前線そのものがその下にある上層海洋内部の偏差場を変質させているためと考えられる。同時に社会貢献として、梅雨経年変動の3-4年周期の卓越特性、2-3年周期の卓越特性、及びこれらと関連する大規模循環場の概要を一般向けに公表する(雑誌「ニュートン」、2005年8月号)。これまので解析より、黒潮及び黒潮族流域はちょうど日本付近の梅雨前線の位置と同じであり、梅雨前線活動はこの領域の海洋循環の影響を受けている可能性が高いことが示唆された。この点を明らかにする一助として北太平洋の大気海洋相互作用、特に海洋から大気への影響を評価し直す(Journal of Climate, 2006)。その結果、従来の線形関係をもとにした見積もりでは、海洋から大気への影響が過小評価されていることが明らかにされた。これは梅雨前線活動への海洋からの影響を特に海洋循環のもつ長い時間スケールでは考慮し直す必要があることを意味する。この点を明らかにするため、北太平洋の海洋循環に確認されている10年規模変動と梅雨前線活動の関係を明らかにする。従来の研究の多くでは、海洋循環の影響は海洋混合層が深くなる冬季にのみ強く現れるとの指摘がなされているが、黒潮及び黒潮続流域は夏季でも比較的海洋混合層深が深く、海洋循環の10年規模変動の影響は夏季、特に梅雨期の大気変動に局所的に現れていることが明らかとなり、現在この結果についてしかるべき論文への執筆を行っている。
|