研究課題
本研究の目的は衛星搭載の光学センサが撮影した衛星画像データを解析するための基本となる新しい地球表面の反射モデルを開発することにある。反射モデルとしては陸域と海域に分けて考える必要がある。平成18年度の研究実績:陸域の解析としては、ADEOS衛星POLDERが観測した陸域の多角度の反射データに基づいてPOSTELが作成したPOLDER-1 BRDFのデータベースから常緑広葉樹林など幾つかのターゲットを選び、Ross-Li BRDFモデル、Ross-Li with Hot Spot BRDFモデルなど既存のモデルを用いて解析を実施した。解析ツールとしはVisu_BRDFソフトを利用した。その結果、これら既存のBRDFモデルは一部ターゲットを除いて0.9以上の高い相関係数を持って観測BRDF値を再現していることを確認した。しかし、これらのBRDFモデルはすべて3パラメータの経験式である。本研究では更に、放射伝達理論に基づく影関数BRDFを新しく導入して解析を試みた結果、この影関数BRDモデルも既存モデルと同様に観測BRDF値を再現可能であることを示すことができた。影関数BRDFモデルによる解析はまだ完了していないが、経験式に基づく既存の陸域BRDFモデルを理論的BRDFモデルに繋げる研究成果をあげることができたと考える。海域の解析としては、鏡面反射を撮影した航空写真データから導出されたCox-MunkのBRDFモデルがこれまで海洋リモートセンシングデータの解析に使用されてきた。本研究は、鏡面反射を撮影した衛星POLDERデータの解析を実施して、Cox-MunkのBRDFモデルの既存のパラメータ値を仮定する場合、推定される海上風速値と観測風速との相関が低いことを指摘し、高い相関係数を与える新しいパラメータ値の提案を行った。また、同時にTerra衛星MODIS画像データを用いて陸域の赤外反射率と可視反射率のバンド比を用いて可視のエアロゾルの光学的パラメータを推定する研究も実施した。これは陸域エアロゾルの可視における光学的パラメータ推定は陸域ターゲットのBRDFモデルの解析に有益なためである。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (4件)
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