研究概要 |
中新世以降のネパールヒマラヤの上昇・侵食過程と気候・生物相の変遷の研究を以下の順で行った。 1.カトマンズ盆地の地層をより正確に対比するため(i)Sankhu-Besigaon-Kapan-Dhapasi-Baluwapati-Manmaiju-Painyatar)と(ii)Lukundol-Sunakothi-Thimi-Gothatar-Arubari)のそれぞれ東西方向,南北方向のルートに沿って,現地で柱状図の作成と帯磁率測定による対比ダイアグラムの作成を行った。また、正磁極性のBrunhes Chron(<0.78Ma)中の磁気エクスカーションを確定させるため,磁気測定に適した粘土・シルトが卓越するBesigaonとDhapasiの二つのセクションで,磁気測定,花粉分析用試料を採取し,試料の処理と測定を開始した。さらに,これまでのカトマンズ盆地の調査に基づき,盆地北部の地層の層序を確定した。 2.シワリク山地については詳しい地質マッピングデータはあるが、テクトニックエヴェント、古環境変動などのタイミングのデータが少ない二つのセクション(Dumkibas-BardaghatとTinau Khola North)で、古地磁気学的測定と花粉分析用の試料を採集し、測定・分析を開始した。また、亜ヒマラヤを含む前縁盆地で磁気ファブリックから推定されるcompressive regimeに伴う磁気ファブリックを明らかにする目的で中央ネパール中部シワリクAmlekhganj付近の厚さ数百mのセクションで粘土・砂岩のサンプルを採集し磁気帯磁率の異方性を測定した。まだ初期段階の結論であるが、対象セクションのサンプル規模では磁気リニエーションが斜交層理から読みとれる堆積時の古流向だけでなく、tectonic transport directionによるものなど、幅広いばらつきがあることがわかった。
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