研究概要 |
中新世以降のネパールヒマラヤの上昇・侵食過程と気候・生物相の変遷の19年度の研究から以下の結果が得られた。 1.カトマンズ盆地において、Gokarna Fm.に相当する黒色泥岩層の試料の残留磁化の測定・粒度分析を行った。Dhapasiセクションの下部の2地点(D12、D13)では,磁気エクスカーションの証拠が見つかりそれをLaschamp Eventと対比し,既存のC14年代データ(例Paudayal 2007)と比較した.その結果,Gokarna Fm.の堆積が4万5千年よりも前始まったと推定された。また,‘両セクションのプロデルタ堆積物(Sakai, et. al. 2001)から得た細粒堆積物サンプル(105個)についてレーザー回折法により粒度分析した結果,堆積物がpolymodal(主に3Modes:0.45,7.3と20-50ミクロン),poorly to very poorly sorted, fine to very fine skewed, leptocurtic to mesocurticでありsand-silt-clay三角図ではsilt-silty sand領域にプロットすることが明らかになった。 2.中央ネパールのシワリク層群のTinau Khola北部セクション(厚さ:1,000m)の116地点から採取した堆積物コアの残留磁化分析・磁気極性区分及びAMS法による磁気ファブリックの分析を実地した。得られた磁気極性シークエンスを標準GPTS(Cande and Kent 1995)と比較すると,該当セクションの年代が約14.6-10Maと平均堆積速度は22cm/kyr推定できた。それで、Tinau Khola北部の地層の最下部は南部の地層(<11.5Ma: Gautam and Roesler 1999)より3Myrも古いという事実が明になり,ヒマラヤの上昇・モンスーン気候の発達(特に10Ma以前の時期)について重要であると言える。磁気ファブリックに関しては新たに北部セクションから得られた結果は同南部セクションの結果(depositional bedding-parallel foliationとtectonicaly induced pre-tilting NNE-SSW lineation)と同様であることが明らになった。この結果はヒマラヤのseismotectonicな解釈(Gautam2008, in press)のために重要である。
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