研究概要 |
平成19年度は,伊豆弧北部9世紀の火山、地震活動の活発化」を再検討し,その結果をもとに伊豆弧北部および広域的な周辺地域における9世紀頃のテクトニクスの特異性を解明すること,を目的とした研究の最終年として取りまとめを行った。 伊豆弧北部の諸火山および富士山で9世紀に,これまで指摘された噴火が実際にあり,かつ規模の大きな噴火であったことから,調査を展開した結果,伊豆弧を含む太平洋プレートーフィリピン海プレート境界および,アムールプレートーオホーツクプレート境界にそって9世紀の噴火と断層活動が連鎖し,東北日本と西南日本境界沿いに東西短縮が起こったことを,前年度までにほぼ間違いないことを突き止めた。 これらの結果を2007年地球惑星関連学会連合大会と第5回火山都市国際会議(島原市)で発表し「9世紀にアムールプレート東縁に沿って起きた噴火、地震活動について」として雑誌「火山」に投稿し,掲載された。 20世紀後半以降,東北〜中部日本の日本海側で地震活動が活発であり,9世紀の活動と似た状況にある。一方,糸魚川静岡構造線活断層中部地区,富士川断層帯では地震の平均再来間隔を過ぎているという考えもあることから,上記の部分で地震活動の連鎖が起こることを否定できない。この延長上には東海地震の震源域と想定されている南海トラフの駿河湾部分もある。アムールプレート東縁の大地震と富士山の山体崩壊。噴火が起こる。という最悪のシナリオも想定されるに至った。将来の研究課題として注目される。
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