研究概要 |
1.浅間火山の2004年噴火噴出物について,以下のような研究成果をあげた. 1)噴火の度毎の岩石種と全岩化学組成・構成鉱物種・鉱物の化学組成を分析して整理した.2004年噴出物は天仁・天明の噴出物とも,また,おそらく昭和の時代に貫入して火口直下にあった安山岩体とも異なる特徴をもち区別できた.9月1日と9月23日の2つのブルカニアン噴火噴出物に含まれたそれぞれ軽石とスコリアは,今回のマグマ起源であると結論できた.ただし,その量が全噴出物量にしめる割合は1-2割程度と少ない. 2)石基中マイクロライトの鉱物種ごとの粒径分布(CSD)を検討し,鉱物の晶出過程とマグマの上昇過程,およびそれらの時期の推定をおこなった.9/1軽石と9/23スコリアの起源マグマは約3週間の時間差をもって上昇し,異なる深度に定置したのちに噴出したと結論された. 3)岩石石基のガラス中の含水量の測定をマイクロFTIRとカールフィッシャー水分計の併用によりおこなう方法を確立した.この方法では,石基中の鉱物の量に左右されずにガラス部分のみの含水量を得ることができる.測定結果は噴火直前のマグマを抑制していた岩石の引張強度と深度を示していると考えた. 2.浅間山のより古い時代の火山噴出物を採取した.とりわけ,火口から遠い4km地点近くの火山弾は,より大きな過剰圧によってもたらされたと推定されるので優先的に採取した. 3.浅間2004噴火噴出物と類似の方法での検討を来年度に行うために,八ケ岳硫黄岳や男体山の火山弾を採取した.とりわけ噴火後の急冷組織の残存しているパン皮状火山弾を採取した.
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