研究概要 |
1 噴出物の石基中に含まれている水の量の定量方法の確立. 1)火山ガラスとマイクロライトが混在する石基の赤外吸収スペクトルから,ガラスの吸収ピークを分離することでマイクロライトの存在を除外した正味のガラス厚を知ることができる.このことにより水の吸光度を正味のガラス厚で規格化して石基ガラスの含水量を定量できることを示した. 2)上記の方法によると,2004年9月1日の浅間火山から噴出したパン皮状軽石皮殻部分のガラスの含水量は0.66wt%と見積もられ,9月23日噴火によるスコリアと安山岩片のガラスの含水量は0.1,0.1-0.2wt%である.軽石マグマの高い含水量は,マグマ定置深度における岩圧と火口をふさぐキャップロックの引張強度が圧力を維持していたためと説明できる. 2 浅間山頂西側地域における2004年噴出物の分布調査 当該地域の噴出物は十分に採取されていないので,噴火のさいのマグマと爆発様式の不均一性によって,これまで良く調査されてきた西側斜面とは異なる噴出物の存在が予想されていた.これまで,多数の噴出物の分布を明らかにし,その中には9月15日前後の用談ドームの破片である可能性のあるものを見いだし,継続して調査中である.
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