研究課題/領域番号 |
17540439
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
高木 秀雄 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (60154754)
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研究分担者 |
円城寺 守 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (70015890)
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キーワード | ヒールドマイクロクラック / シールドマイクロクラック / 古応力場 / 領家花崗岩 / 伊豆弧の衝突 / 丹沢トーナル岩 / 中央構造線 |
研究概要 |
本州弧に対する伊豆-小笠原弧の衝突に伴う中央構造線(MTL)の折れ曲がりと、丹沢トーナル岩体に記録されている古応力場を復元するため、領家帯の花崗岩類と丹沢トーナル岩体中の石英粒内に存在するヒールドマイクロクラックの三次元方位分布を測定した.その結果、以下のことが明らかになった. 1.中央構造線沿いの三重県美杉トーナル岩、新城トーナル岩中のヒールドマイクロクラック方位分布によるσHmaxの方向は、概ね現在のMTLの方向と平行か、やや反時計回りに斜交する結果が得られた.すなわち、美杉トーナル岩ではほぼENE-WSW、新城トーナル岩ではほぼNE-SWであった.その結果は、今回再検討を実施した淡路島の野島花崗閃緑岩(ほぼE-W)の結果とも調和的である.一方、MTL北端部に位置する高遠花崗岩の結果については、MTLとむしろ直交する結果(E-W)が得られた.以上から、高遠花岡岩を除くと、伊豆弧の衝突に伴うMTLの折れ曲がりがヒールドマイクロクラック方位分布にも記録されていたと言える.高遠花崗岩の結果については、今後の課題として残された. 2.丹沢トーナル岩体中のヒールドマイクロクラック方位分布によるσHmaxの方向は、広域に渡ってほぼ一定で、NNE-SSWの方向をしめす.同様に、ヒールドマイクロクラック生成環境は、300〜400℃の条件で生じたことが、流体包有物の均質化温度から明らかになった.一方、丹沢トーナル岩体中のシールドマイクロクラックも、ヒールドマイクロクラックの結果と同様、NNE-SSWのσHmaxを示す.以上から、伊豆弧のNE方向の衝突軸に対して、丹沢トーナル岩体がその軸よりやや東側に分布することが、NNE-SSW方向のσHmaxを示したと解釈される.現在、この成果を論文としてまとめている.
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