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2007 年度 実績報告書

後期中新世の旧世界における長鼻類の進化

研究課題

研究課題/領域番号 17540445
研究機関兵庫県立大学

研究代表者

三枝 春生  兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 助手 (70254456)

キーワード長鼻類 / 中新世 / ゾウ科 / 分類学 / ステゴドン / シノマストドン / 咀嚼 / アナンクス
研究概要

後期中新世は世界的に陸上環境の乾燥化が進んだ時代だが、長鼻類においても乾燥化への適応として、アフリカ、西ユーラシア、東ユーラシアでそれぞれ独自に長鼻類の各系統がgrazerへと特殊化したことが系統の再検討と咀爵機能の推定からわかった。アフリカで起源し進化した長鼻類でゾウ科はgrazerへと進化する傾向のある長鼻類であることは良く知られている。ゴンフォテリウム類の一種であるアナンクスもアフリカでは独自にgrazerへと特殊化し、ゾウ科と同等の咀嚼機能を異なった様式で実現していたことが咬耗面の研究から分かった。このことは同位体の研究からも支持され、前期鮮新世までの段階ではむしろアナンクスの方がよリgrazerとして優れていたことが示唆される。しかし、後期鮮新世以降はゾウ科がgrazerとしてより優位に立つようになったらしく、アナンクスは絶滅する。これはゾウ科で採用された顎の前後運動を伴った咀嚼様式の方がより、hearing edgeを増やす点で有利であったことを反映しているのがあろう。
東ユーラシアのおける変化はアフリカにおける推移と類似しているらしい。東南アジアと中国の長鼻類を比較するために、北京の古脊椎古人類研究所を訪問した結果、シノマストドンの臼歯の進化傾向が明かとなった。後期中新世末に東アジア〜東南アジアにかけて広く分布していた初期のシノマストドン類は臼歯の咬耗面の構造からbrowserと推定されるが、東南アジアに分布を限定するようになった後期のシノマストドンでは咬頭が複雑化し、grazerへと特殊化している。興味深いことに、鮮新世末〜前期更新世においいはシノマストドンが中国のいくつかの地域ではスデゴドンより優勢である。残念ながら、同位体の研究がされていないため、支持材料に乏しいが、これはアフリカにおれるアナンクストゾウ科の競合と類似しているのかもしれない。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2007

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)

  • [雑誌論文] New late Miocene elephantoid(Mamnialia:Proboscidea)fossils from Lemudong'o,Kenya2007

    • 著者名/発表者名
      Saegusa, H. and Hlusko L.J.
    • 雑誌名

      Kirtlandia 56

      ページ: 140-147

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A new Late Miocene great ape from Kenya and its implications for the origins of African great apes and humans2007

    • 著者名/発表者名
      Kunimatsu, Y., et. al.
    • 雑誌名

      Proceedings of the National Academy of Sciences 104

      ページ: 19220-19225

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The paleoecology an paleogeographic conteXt of Lemudong'o,Locality 1,a late Miocene terrestrial fossil site in southern Kenya2007

    • 著者名/発表者名
      Ambrose, H.S., et. al.
    • 雑誌名

      Kirtlandia 56

      ページ: 38-52

    • 査読あり

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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