研究課題
本年度は、1)御坂山地・富士川流域の8〜16Maの火山岩・火砕岩の分布地域の調査を行い、高エネルギーイオン線によるクロム透輝石中のガラス包有物の分析を行った。また、2)水素分析の定量分析法の改良と検出限界(下限)の決定を行った。1)富士川流域の山梨県身延町光子沢付近と御坂山地の中道町付近の玄武岩質安山岩〜玄武岩から多量のクロム透輝石斑晶を確認した。いずれも組成累帯が発達し、中心部のクロム透輝石の周囲に普通輝石組成のリムが取り巻く。陽子弾性散乱同時計測法(ERCS)で分析した結果、水濃度は2〜3wt.%H2O程度で、以前測定した富士川流域の山梨県南部町上佐野の試料よりもやや低い濃度を示した。現在、結果について検討中である。山梨県都留市の調査では、クロム透輝石を含む新たな玄武岩質安山岩を見いだした。また、南部町上佐野のクロム透輝石中のガラス包有物を加熱した結果、1000℃前後で融解し、含水マグマがやや低温で生成したことを暗示する結果が得られた。2)超微量の水素を含む複数の合成石英ガラスの測定により、ERCS法での水素の検出限界を決定した。これまで10wt.ppmH2O程度の水素まで検出できるとしてきたが、標準物質の工夫、ビーム照射条件の改良などにより、2〜3wt.ppmH2O程度まで定量できることが分かった。この検出限界は、厚みのある試料の局所的な水素分析では世界的に最も良い値となっている。
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