研究概要 |
二酸化チタンのザクロ石と斜方輝石への固溶反応を7kbar〜25kbar,850℃〜1300℃の条件で調べた.使用した試料は東南極Napier岩体,Enderby Land, McIntyre島で採取した斜方輝石・グラニュライトとLutzow-Holm岩体Rundvagshettaに産する珪線石・菫青石・サフィリン・グラニュライトである.McIntyreグラニュライトの岩石粉末に約8wt%のSiO_2,16wt% TiO_2,8wt% Al_2O_3を加え,10kbar,1500℃で1分間溶融させた後,急冷して得られたグラスを実験の出発物質(MCTQ)とした.RundvagshettaグラニュライトはTiO_2を2wt%含んでいるので,この岩石粉末を出発物質(RVH)とした.実験時間は64時間から952時間とし,MoとPtの二重キャプセルやAuPdキャプセルを用いた.今回の実験で,以下の結果を得た. (1)ザクロ石や斜方輝石中のTiは4配位席のSiを置換し,MgやFeやAlを置換しない. (2)ザクロ石や斜方輝石中のTiO_2固溶量は温度増加に伴って以下のように増大する: ln(X^<Grt>_<Ti>/X^<Grt>_<Si>)=-15366/T+5.962,ln(X^<Opx>_<Ti>/X^<Opx>_<Ti>)=-11367/T+3.107 (3)この温度計は,ルチルを離溶するような後退変成作用の温度見積もりに極めて有用である. (4)圧力依存性は,ザクロ石では圧力上昇と共にTiは減少し,斜方輝石のTi量は増加する. 以上の実験的研究による成果は,第10回国際南極地学シンポジュームISAE2007で公表予定である. また,記載岩石学的手法による石英中の二酸化チタン固溶量は T(℃)=-5895/(lnX^<Qtz>_<TiO2>+1.729)-273 であり,この成果は,Geological Society of Londonに投稿中である.
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