研究概要 |
1.愛媛県新居浜市東赤石山の石英エクロジャイトや東南極Napier岩体McIntyre島の超高温変成岩の相平衡実験を15キロバールの圧力下でおこなった。石英やザクロ石や輝石類のTiO_2固溶量の温度依存性を検証した。7〜20キロバール、850〜1300℃の実験データを使い、石英やルチルと共存するザクロ石や斜方輝石のTi含有量を平衡温度の関数として、ln(X^<Grt,IV>_<Ti>/X^<Grt,IV>_<Si>)=-15366/T+5.962、およびln(X^<Opx>,<IV>_<Ti>/X^<Opx,IV>_<Si>)=-11367/T+3.107と求めた。ここで、Xはザクロ石や斜方輝石の4配位席におけるTiやSiの占有率である。また、ルチルと共存する石英へのTi固溶量と温度にはT(℃)=-5895/(lnX^<Qtz>_Ti>+1.729)-273の関係があることを明らかにした。これらを超高温変成岩に適用し、変成履歴を解析した。 2.超高温変成岩類の変成履歴解析を進める過程で、石英中のFe^<3+>含有量の温度依存性に気付いた。シリカ鉱物中へのFe^<3+>固溶量を大気中で、990〜1440℃の温度範囲で調べた。磁鉄鉱と共存するシリマナイト中のFe含有量はlnX_<Fe>=(-1092-5.254T+7.75P)/Tのような温度圧力依存成があることを明らかにした。この実験結果を東南極Riiser-Larsen山に産する縞状鉄鉱層の石英-磁鉄鉱岩に適用し、これが被った超高温変成作用の最高温度を1100℃と見積もった。
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