研究課題/領域番号 |
17540457
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
桑原 義博 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 准教授 (90281196)
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研究分担者 |
上原 誠一郎 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教 (70158773)
石田 清隆 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 准教授 (60108602)
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キーワード | スメクタイト / 白雲母 / 溶解速度 / AFM / アルカリ性環境 / 溶解機構 / 反応表面 |
研究概要 |
本研究で我々は、加熱AFMその場観察法を導入し、鉱物の溶解速度に対する温度効果とpH効果を同時に現すことを目指した。本年度はその最終年度で、特に2八面体型層状珪酸塩鉱物の溶解速度の温度依存性についてまとめた。 スメクタイトおよび白雲母の溶解の活性化エネルギーはほぼ等しい(pH11.8で約54kJ/mol、pH11.2で約50kJ/mol)。また、これまでの研究で示されていたカオリナイト溶解における活性化エネルギーのpH依存性が、白雲母やスメクタイトでも認められた。これらのデータから、2八面体型層状珪酸塩鉱物の溶解速度の温度効果(20〜80℃)とpH効果を同時に示すモデル溶解速度式を求めることに成功した。 スメクタイトおよび白雲母のモデル溶解速度式は、室温〜60℃でのそれらの実測値と近似的であった。しかし、スメクタイト溶解において、60℃以上の温度条件では両者に無視できないほどの差が認められた。溶解反応表面の変化や溶解速度をコントロールする律速段階の変化など、スメクタイトの溶解反応機構の変化が温度60〜80℃を境に起こっている可能性がある。 溶解の活性化エネルギー、反応表面、溶解速度の異方性などの結果を総合的に判断すると、アルカリ性条件下における室温〜60℃での2八面体型層状珪酸塩鉱物の溶解の律則段階は、端表面に存在するSi-O-Al結合(およびSi-O-Al2結合)の切断であると思われる。Si-O-Al結合は{110}面上にしか存在せず、これはスメクタイト端表面の溶解速度の異方性と矛盾しない。 これらの研究成果の一部は、国外の学術雑誌(American Mineralogistなど)などに公表した。
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