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2005 年度 実績報告書

月の「海」の年代学 〜SIMSを用いた月角礫岩の局所U-Pb年代分析〜

研究課題

研究課題/領域番号 17540462
研究種目

基盤研究(C)

研究機関広島大学

研究代表者

寺田 健太郎  広島大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20263668)

キーワード月 / 月隕石 / 年代分析 / 局所分析 / イオンマイクロプローブ / SIMS / 惑星科学 / 地球化学
研究概要

月から飛来したとされる月隕石は、月面からランダムに飛び出したものと考えられており、月の未探査領域の表層環境を知ることができる貴重な学術試料である。しかしながら、これらの隕石の殆どが異なる起源からなる多種混合角礫岩であるため、従来の全岩分析に基づく形成年代の考察はこれまで困難とされてきた。そこで本研究では、広島大学設置の高感度・高分解能2次イオン質量分析計SHRIMPの高い空間分解能を活かし、月の「海」起源角礫岩の局所U-Pb年代を行い、以下の事を明らかにした。
1)Very-Low-Ti(VLT)玄武岩質隕石EET87521のphosphateの結晶化年代を3503±140Maと決定した。この値は、ペア隕石とされるEET96008のphosphate年代3569±100Maとよく一致するものの、EET96008で見られるようなショックイベントによるU-Pb系のdisturbanceは確認されなかった。即ち、これら二つのペア隕石のU-Pb系は必ずしもidenticalではないことを示した。
2)上記3.5Gaの結晶化年代は、過去の月探査計画で報告されている年代よりも約2億年古く、VLT玄武岩の活動時期は従来考えられていたよりも長期間に渡っていた事を示した。
3)上記3.5Gaの年代は、「同一クレーター起源」を意味する"launching pair"隕石と提唱されるVLT玄武岩質隕石Yamato 793274/981031(4.0&4.4Ga)やQUE94281(3.8Ga)のバルク年代と有意に異なっており、「launching pair隕石説」または「(報告されている)バルク分析の年代値」のいずれかと矛盾する結果となった。
上記1)2)の結果については、Geophysical Research Letters32巻で発表した。3)については、現在、Yamato隕石、QUE隕石のSHRIMPによる局所年代分析の追試を進めている。Preliminaryな分析ではいずれの隕石も3.5Gaの火成作用を示しており、「launching pair隕石説」をサポートし「バルク年代の正当性」に疑問を投げかける結果が得られつつある。これらの初期分析の結果については、2006年3月のヒューストンで開かれたLPSC国際会議で口頭発表した。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2006 2005

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] 高感度2次イオン質量分析計によるVLT basalt限石の局所U-Pb年代分析2006

    • 著者名/発表者名
      寺田 健太郎ほか
    • 雑誌名

      第27回太陽系科学シンポジウム集録

      ページ: 33-36

  • [雑誌論文] Petrology and geochemistry of LaPaz Icefield 02205 : A new unique low-T mare-basalt meteorite2006

    • 著者名/発表者名
      Anand M.et al.
    • 雑誌名

      Geochimica et Cosmochimica Acta 70・1

      ページ: 246-264

  • [雑誌論文] Ion microprobe U-Pb dating of phosphates in lunar basaltic breccia Elephant Moraine 875212005

    • 著者名/発表者名
      Terada K.et al.
    • 雑誌名

      Geophysical Research Letters 32・20

      ページ: L20202

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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