研究概要 |
本研究の軍的である水分子の水素同位体分別係数を求めるための水素同位体比測定は、水素ガスと液相の水とを疎水性白金触媒を用いて同位体交換平衡と到達させて聞接的に測定するという方法と、水蒸気を亜鉛で還元して水素ガスにして測定する方法を用いた。これらの手法を用いて、アルカリ土類金属塩化物や含水鉱物に関する水素同位体分別係数を数多く求め報告した。一方、酸素同位体比測定法としては、近年少量のmg以下の軽元素同位体比を測定する質量分析計としてIsoprimeが開発され、これを用いることを試みだ。このIsoPrimeの前処理装置として元素分析装置を用い、無酸素状態で1mg以下の無機化合物を熱分解によって完全にガス化させ、ガス化して生じた酸素はグラファイトと完全に化合させ一酸化炭素の形とし、ガスクロカラムを通レて他のガスと分離させ、その酸素同位体比として分析した。酸素同位体比は一酸化炭素の質量ピークの28,29,30を三つのファラデーカップで同時に測定した。これまでの成果として、この手法を用いて炭酸塩および硫酸塩、塩化物および硫酸塩の結晶水和物の酸素同位体比が1〜2‰程度の誤差で測定ができ、SMOWスケールにも対応可能となった。また、硫酸マグネシウムの結晶水和物の結晶水は溶媒の水より水素同位体比は低く、酸素同位体比は高くことが明らかになったが、残念ながらMgSO_47H_20およびMgSO_46H_20の結晶水の同位体比には、有意な差がみられなった。また、3種類(H_2^<16>O、D_2^<16>OおよびH_2<18>O)の端成分の水にCuCl_2無水塩を溶解し、H_2^<16>O、D_2^<16>OおよびH_2^<18>Oの端成分の塩化銅二水和物の単結晶を晶出させ、それらのラマンスペクトルを測定した。得られた振動数に基づいて、現在統計力学的計算手法を用いて塩化銅二水和物-水蒸気間の水素および酸素同位体分別係数を理論的に計算中である。
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